買収当時、スキンカリオールはブラジルで約10%のトップシェアを持ち、年率約10%売り上げが伸びる 有望企業だった。 しかし、ブラジル国内経済の停滞と消費低迷から販売数量の落ち込みに加えて、同国通貨レアル安(円高)で業績は急速に悪化。 その結果、キ リンHDは15年12月期で、買収時に計上していたのれん代など1100億円の減損処理を余儀なくされた。 のれん代とは、企業の買収時に支払われる対価と買われる企業(被買収企業)の純資産の差額を示す。 通常は、買収額が純資産額を上回る。 のれん代の本質は、被買収企業が将来にわたり利益を稼ぐ力(超過収益力)を評価したものだ。 貸借対照表(バランスシート)上では、無形固定資産として計上される。 のれん代を費用として計上(償却)するか否かは、会計基準で異なる。 日本基準では、のれん代を20年以内で均等に費用計上する(のれん代の償却)。 一方で、国際財務報告基準(IFRS)や米国会計基準では、のれん代の定期償却は行わない。 ただし、買収した企業の収益力が低下したと判断されれば、のれん代の評価を引き下げ、当初計上したのれん代との差額を損失処理しなければならない。 これが、のれん代の減損処理である。 |